ストームキングは大変裕福のようですね。ここはプライベートのファンデーションなのです。多分不動産会社ではないかと思いますが、2人の大富豪が出資して作ったスター・エクスパンション・カンパニーという会社によって1960年に設立されました。ですから、もともと広大な土地を獲得したりすることには強いのでしょう。その2人が、自分で創業した会社の創業者利益の株をファンデーションに入れて、大富豪でもありますから、そのためにお金を出すのです。作家を必ず訪問し、この公園に連れてきて、場合によっては作品設置予定地の地形を変更させるぐらいの条件を受け入れて、自由に仕事をさせるわけです。
霧島アートの森は県立です。日本ではほとんどの美術館が国立、県立、市立です。もちろん箱根の彫刻の森のように、フジサンケイグループが作ったようなプライベートの美術館もないわけではありませんが、ほとんどが公的な、税金で支えられている美術館です。
日本と違ってアメリカの美術館は、もちろん例外は若干ありますけれども、ほとんどがプライベートファンデーションです。皆さんがよくご存じのようなメトロポリタン美術館、ニューヨークの近代美術館、全部あれはプライベートファンデーション、私立の美術館です。メトロポリタンは世界でも有数というか、パリのルーブル美術館や大英博物館と覇を競い合う大美術館、壮大な規模の美術館ですけれども、あれもプライベートファンデーションなのです。もちろん、プライベートファンデーションといっても、国とかニューヨーク市とかニューヨーク州から補助金はもらってはいるのです。しかし、いわゆる国公立ではありません。 |
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ストームキングも大富豪2人の出資によって成り立っている美術館です。この大富豪は出資しただけではなくて、すべてをここに入れ揚げてしまいました。作家の選定からデザインからカタログの執筆から全部やってしまうというクレージーな富豪です。そういう意味ではそこで制作する作家にとっては大変幸せなことだと言えます。やはり、霧島の場合は税金でやっていますから予算の制約を受けます。たとえば先程お話ししましたように、カルダーが欲しいと思いましたけれども、手が届かなかったりするわけです。もちろん、ストームキングでも無尽蔵にお金があるわけではありませんが、プライベートであるということは、予算的な制約が国や自治体の会計で縛られているわけではありませんので、非常に柔軟な発想が可能であって、その意味ではうらやましかったりもするわけです。
しかし、国や自治体の美術館であれば財政的な保証はあるわけですが、プライベートファンデーションですから、経済によって、あるいはスター・エクスパンション・カンパニー自体の経営が傾いたりというようなことがあれば、将来閉鎖のやむなきに至るなどという可能性もないわけではありません。厳しいことは厳しいですが、その代わり、非常に自由奔放にいろいろなことができて、経営している人にとってはそういう楽しさもあると思います。
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これは、先程屋内展示室でご覧にいれましたデイヴィッド・スミスという人の初期の作品です。分かりにくいかもしれませんが、ブロンズの人物像が2点向かい合っています(スライド画像:S.19&S.22)。
このあと彼は鉄の作品を制作するようになります(スライド画像:S.20)。鉄とは本来彫刻の素材としては向いていないのです。鉄はさびてなくなってしまうので、鉄器などはほとんど残っていませんね。発掘される武器とか鏡とかはほとんどが青銅製、ブロンズです。鉄は数百年ももちませんが、今ではコールテン鋼というのができています。先程リーバーマンの真っ茶色の作品がありましたが、あれもコールテン鋼で作られています。表面が真っ茶色の皮膜、さびで全部覆われてしまうと、ここから先にはさびが進行しないのです。だから、耐久性のある素材として建築材料とか彫刻の材料には向いていると考えられているのです。それ以前は、鉄の作品はほとんどなかったのですが、しかし鉄は鉄の彫刻の面白さがあるのです。鉄は日常的には、武器であったり、橋であったり、塔であったり、一番メジャーな金属です。鉄の彫刻を見ると、日常的な感覚がそこにどうしても入ってきます。もちろん青銅製の剣という武器もなくはないけれども、一般的にはブロンズは彫刻のための素材であり、機関銃を作ったり橋を作ったりする鉄は武器や工業のための素材と言ってもいいでしょう。そういうものの意味合いがどうしても彫刻の中に入り込んでくるのです。そのことがかえって彫刻をユニークにするともいっていいでしょう。 |
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