これは知らないと彫刻だとは思わないかもしれませんが、ソル・ルウィットと言う人の作品です(スライド画像:S.29)。ソル・ルウィットの芸術はミニマルアートと呼ばれています。ミニマルアートとは最小限芸術と言うことです。これは単なる箱、グリッドにしか見えません。つまり彫刻らしいボリュームとか豊かな表現をぎりぎりまでそぎ落としてしまっていて、これ以上落とすと彫刻ではない、造形ではないという限界点をまさぐる芸術と言うのでしょうか。限界芸術あるいは最小限芸術の巨匠の作品です。そう思って見てみると、非常に美しい作品です。霧島にもルウィットの室内ピースのいい作品があります。残念ながら、今は常設展示されていませんが、常設展示されているときにはぜひご覧になって下さい。 |
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| これは女性彫刻家の巨匠ルイーズ・ネヴェルスンの《高原都市City
on the High Mountain》と言う作品です(スライド画像:S.30)。これは鉄の彫刻ですが、この作家は、廃品彫刻といって、町の中に打ち捨てられた家具とか、ドアのノブとか、机とか、板塀とか、そういうものを拾ってきては、それらを組み合わせて彫刻を作るという手法をとっています。アッサンブラージュ、寄せ集め彫刻と言う意味です。 |
日本でもそうかもしれませんが、ニューヨークを歩くと町じゅうあちこちに家具が、日本で言う粗大ゴミが置いてあるのです。けっこう使えるものも沢山あります。僕は今ニューヨーク暮らしですので、車でもあれば拾って持っていきたいところですが、みっともないからしたことはありませんけれども、彼女は町じゅうを歩いて集めてきて寄せ集め彫刻を作るのです。
そうして集められたもので作られた作品、それは都市の記憶です。都市から廃品として廃棄されたものには都市の叙情とか記憶が宿っていますから、それらを寄せ集めて都市のモニュメントを作り上げるわけです。この作品は鉄でできていますから、もちろん廃品彫刻、ジャンクアートではないのですが、ジャンクアートの効果のような寄せ集めで、この作品の注文を受けたこの公園のイメージを演出してみようということなのでしょう。ここに人物がいますから、おおよそ見当をつけてみますと、7メートルぐらいありましょうか、巨大な彫刻です。
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これはメナシェ・カディシュマンというイスラエルの作家の作品です(スライド画像:S.31)。巨大な鉄の箱が斜めにたてられていて、さらに頂点から鉄の箱がぶら下がっているのです。多分、非常に大きな構造体をがっちりと強力に大地に入れて支えているので倒れないのでしょうが、非常に不安を誘う作品です。子供たちはこの下で遊んでいて、上を見上げたりしているのですけれども、親にしてみれば、ガチャンとつぶれたらこども達はぺしゃんこになってしまうでしょう。そういうトリッキーなユーモアというか面白さを持っている作品です。ご覧いただいておわかりになると思いますが、ストームキングはシンプルな造形的な強さを持つ作品はもちろんですが、ある意味ではユーモラスな作品もあって、とてもすばらしい公園です。
これはイギリスの作家グロスヴナーの、鉄の箱と鉄板だけで構成された、やはりミニマルアートの作品です(スライド画像:S.32)。専門用語でいうとプライマリー・ストラクチャー、基本的な構造だけで成り立った作品ということになります。彫刻において積み木細工のような非常にシンプルな形態の持つ強さを追求していこうというのがプライマリー・ストラクチャーと言われる運動なのですけれども、最初にご紹介したリーバーマンもその延長上の作家ということになるかもしれません。鉄の箱と鉄の斜面だけでできた作品ですから、「これでも彫刻なのか」と思われるかもしれませんが、大変美しく、特にこういう自然の中にぱっと置いたりすると非常に映える作品でした。
霧島で言えば樹林ゾーンにあたる、木立の中、森の中にもこういう小さな作品があちこちに配置してあります。(スライド画像:S.33)
これは川の上に橋のように架かっている作品で、シア・アルマジャーニと言う人の《二人のアナーキストのための見晴台》と言うタイトルです(スライド画像:S.34)。両端に椅子が置いてあって、双方から向かい合って見つめ合うという作品です。背景に何かストーリーがあるのかもしれませんが、詳しくは分かりません。この作品も建築的な造作です。現実に建築として機能するわけではありませんが、小屋が持つ造形の面白さみたいなものを生かしていると言えます。
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これは電動のモビールです。ジョージ・カッツという人の作品です(スライド画像:S.35)。
これはモアイの巨大な石のマスクです(スライド画像:S.36)。もちろん本物ではなくてレプリカです。なぜこれがそこに置かれているのか考えてみたのですが、このような原始彫刻は野外彫刻の原点ということを言いたいのではないでしょうか。先程野外彫刻公園の歴史は非常に浅いと申し上げました。日本では1969年に設立された箱根の彫刻の森美術館が出発点ですし、海外を見渡しても数も少ないし、歴史も浅いです。ストームキングも、構想されたのは60年代です。ヨーロッパにはいくつか古い彫刻庭園があるしにても、一般的にはそんなに長い歴史を持っているわけではありません。しかしよく考えてみれば、野外彫刻というのは、絵画よりも室内彫刻よりもはるかに時代をさかのぼるのであって、人類が最初に作り出した造形は野外彫刻と言えるかもしれないのです。
例えば、イギリスにはドルメンとかストーンサークルなどの先史時代の遺跡があります。そこまで彫刻の歴史をさかのぼれば、それらは人類にとって最も原初的な造形表現の有り様なのではないかと思うわけです。ですから野外彫刻公園というのは、近代が見た単なる夢ではなくて、人類の長い歴史を踏まえたうえで成り立っているのだということを、創業者である2人の実業家は言いたいと考えたのですが、本物の文化財をここに設置することはできないために、あえてこのレプリカをここに置いたのではないか。まあこれは私の想像ですが。
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