現代美術|特別企画展 飯川雄大展「デコレータークラブ:未来のための定規と縄」

現代美術|特別企画展 飯川雄大展「デコレータークラブ:未来のための定規と縄」

 霧島アートの森では、現代美術|特別企画として、美術家・飯川雄大(1981年~)の個展を開催します。 

 「デコレータークラブ」とは、世界中の海に生息し、周辺の環境に合わせて海藻や小石を身につけて姿を変える蟹(Decorator Crab)から着想した名前です。かねてより飯川は、目の前で起きた驚きを他者に伝えることの難しさをポジティブに捉え、認識と現実の間にあるズレを可視化しながら、その場と鑑賞者の関係を扱った新たな体験を提案してきました。

  本展では、定規と縄をモチーフにした新作を発表します。一見、遊んでいるようにも思える鑑賞者の身体的行為を取り込み、展示室だけでなく野外広場へと繋がる大規模なインスタレーションを展開。本館が開館して以来はじめての試みに挑みます。また、誰かの忘れ物かのような《ベリーヘビーバッグ》や、全貌を捉えることのできない大きな彫刻《ピンクの猫の小林さん》など、飯川が継続して発表しているユーモアと洞察に満ちた作品も織り交ぜます。コミュニケーションの不完全さや、遅れてやってくる「合点」に着目した飯川の作品は、一つの「できごと」の背後に広がっている多様な可能性や視点を想像するきっかけとなるでしょう。

【主催】鹿児島県文化振興財団/南日本新聞社/MBC南日本放送/KTS鹿児島テレビ

【協力】湧水町/一般社団法人霧島山麓湧水町観光協会/第一交通産業株式会社/株式会社 新園自動車/エアー遊具カンパニー(株式会社アールイーナンバー)/株式会社ティーハウス建築設計事務所/有限会社キューアンドエー/ゆうこうマリン株式会社

【特別協賛】トヨタカローラ鹿児島株式会社 

【助成】公益財団法人三菱UFJ信託地域文化財団

【キュレーション】堤 拓也(インディペンデント・キュレーター)

【前売券販売所】南日本新聞社、MBC南日本放送、KTS鹿児島テレビ、霧島山麓湧水町観光協会加盟店舗、霧島温泉市場、コープサービス、鹿児島大学生活協同組合、県職員生協、宮崎県立美術館、都城市立美術館、宝山ホール(鹿児島県文化センター)、What、山形屋プレイガイド、大谷画材、集景堂、十字屋クロス、高木画荘、国分進行堂、チケットぴあ(Pコード: 686-519)、ローソンチケット(Lコード: 84355)、e+イープラス

*前売りチケット販売は6/24(土)〜8/27(日)まで

【関連事業】

①オープニングセレモニー(*終了しました)

7月14日(金)14:00〜

 

②トークセッション1(*終了しました)

7月14日(金)15:00〜

ゲスト:ライ・イーシン(賴依欣)[嘉義市立美術館 館長]

日中通訳:池田リリィ茜藍

キュレーター、学際的アートワーカー。2011年にロンドンのウェストミンスター大学視覚文化学を卒業後、台南を拠点に活動している。長期的なキュレーションのテーマに、ポストコロニアル時代における都市の質感や、歴史的空間の時間的再解釈など、いかに現代美術の制作と展示が、歴史的・文化的な物語を語り直すきっかけとなり、想像を再喚起させるオルタナティブな方法となり得るのか考察する。現在は台湾中部にある嘉義美術館の館長として、美術館の知名度のみならず、専門性や多様性を向上させ、国外と地域の芸術交流を促すことに注力している。

 

③作家によるギャラリーツアー

7月15日(土)、9月9日(土)14:00〜

 

④作家によるワークショップ(*終了しました)

8月11日(金)14:00〜

 

トークセッション2

8月13日(日)14:00〜

ゲスト:イ・アルム(이아름)[YPC SPACE 共同ディレクター]

日韓通訳:小栗栖まり子

1990年生まれ。 美学、ポピュラーカルチャー研究者。ソウル大学美学科を卒業し、同大学院で「アドルノ美学の崇高概念研究」で修士号を取得。現在、博士課程に在学中。ソウルの美術現場で企画、翻訳、寄稿などを行いつつ、2015年より、美術批評、企画、出版コレクティブ・Yellow Pen Clubという名義で多数のプロジェクトに参加する。2022年、ソウル忠武路に所在するインディペンデントスペース・YPC SPACEを共同設立。大衆文化と美術、そしてその接触面と背後で起きることに関心を持ち、 プログラムの一環として、カワイイという現象を定義しその影響力を読み取る「カワイイ研究会」を実施している。ドン·ソンピル個展「怪・獣・人」(ソウル、2022年)[第1回ソウル芸術賞視覚部門優秀賞受賞]、「Melty Cutie Syndrome」(ソウル、2023年)[2023年ソウル文化財団青年芸術支援事業選定] などを企画。

 

⑥本館学芸員によるギャラリーツアー

8月14日(月)、8月27日(日)、9月3日(日)14:00〜

 

トークセッション3

9月10日(日)14:00〜

ゲスト:平野真弓[ロード・ナ・ディト 共同設立者]

大阪生まれ、マニラ在住。インディペンデント・リサーチャー、キュレーターとして活動している。2016年に「ロード・ナ・ディト」をマーク・サルバトスと共同設立し、文脈に根付いたキュレーションの方法を探っている。教育と連帯のプラットフォームとしての展覧会やフェスティバルの機能と可能性に関心をもっている。現在は日比の芸術連帯運動の歴史について調査を行うと同時に、こうした運動を支える「オーガナイズ」の仕事が美術史において周縁化されてきたことに対する疑問から、女性カルチュラルワーカーに関する調査とライティングワークショップを共同開催している。最近のプロジェクトに「Trace the Traceness of the Ant」展(Purita Kalaw-Ledesma Center, Makati, Manila、2023)、『戸口に立って―彼女がアートを実践しながら書くこと』(共同編集、2023)など。フィリピン大学ディリマン校芸術学部シニア・レクチャラー。

 

※関連イベントの詳細は、決まり次第本館ホームページ等でお知らせします。

関連グッズ・書籍の販売

【展示概要】(インスタレーション・立体・映像等 約10 点)

《デコレータークラブ—未来のための定規と縄》の制作風景、2022年

Photo: Takehiro Iikawa

《デコレータークラブ—ピンクの猫の小林さん》2022年

彫刻の森美術館「デコレータークラブ:同時に起きる、もしくは遅れて気づく」の展示風景

Photo: Takafumi Sakanaka

《デコレータークラブ—メイクスペース、ユーズスペース》2022年

兵庫県立美術館「チャンネル12」の展示風景

Photo: Takafumi Sakanaka

《デコレータークラブ—配置・調整・周遊》2018年

あまらぶアートラボ「A-Lab」の展示風景

Photo: Hyogo Mugyuda

《デコレータークラブ—新しい観客》2022年

彫刻の森美術館「デコレータークラブ:同時に起きる、もしくは遅れて気づく」の展示風景

Photo: Takehiro Iikawa

 

* 展覧会チラシはこちら

企画展の情報

会場
鹿児島県霧島アートの森 アートホール
開催期間
2023/07/14 〜 2023/09/10
* 月曜日休園(祝日の場合は翌日休園)
* 7/31(月),8/14(月)は開園
観覧時間
9:00〜17:00(入園は16:30まで)
観覧料
観覧料:一般1,200(900)円/高大生800(600)円/小中生600(400)円
* ( )内は前売り又は20人以上の団体料金
*本券で野外常設展もご覧になれます。

アーティスト紹介

133

飯川 雄大(いいかわ・たけひろ)
1981年兵庫県生まれ、同地を拠点に活動。成安造形大学芸術学部情報デザイン学科ビデオクラス卒業。鑑賞者が作品に関わることで変容していく空間や物が、 別の場所では異なった事象となって現れる《0人もしくは1人以上の観客に向けて》 など、見る者の思考を誘発する作品を制作。主な個展に「デコレータークラブ:同時に起きる、もしくは遅れて気づく」(箱根彫刻の森美術館、2022-23年)、「デコレータークラブ:メイクスペース、ユーズスペース」(兵庫県立美術館、2022年)。主なグループ展に、「感覚の領域 今、『経験する』ということ」(国立国際美術館、2022年)、ヨコハマトリエンナーレ 2020「AFTERGLOW ─光の破片をつかまえる」(PLOT 48、2020年)、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館、2019年)など多数。2022年、兵庫県芸術奨励賞受賞。