家に遊びに来た子供を風呂に入れて服を着せようとしたとき、からかうように湯上がりタオルを持って逃げるポーズが可愛くて、その一瞬の仕草をとらえた作品である。子供像の塊(かたまり)のなかにも足の先から頸に至るまで、やさしい愛情にみちた表現は佐藤忠良の真骨頂といえる。しかし、ただかわいいだけの子供に立ち向かうのは大人に臨むより難しいと作者は言う。
宮城県生まれ。当初画家を目指すが、次第に彫刻への関心が高まり、東京美術学校彫刻科で学ぶ。熱きヒューマニズムに裏打ちされた深い人間愛と豊かな詩情を漂わせる洗練された造形美は、国内はもちろんのこと国外でも日本人として初めてパリ国立ロダン美術館で個展が開催されるなど高い評価を得てきた。
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